第3章 小さな不安(手嶋純太)
放課後。
今日は部活がオフ日だったらしく早速一緒に帰ることになった。
先ほどメールで校門前で待ち合わせと決めてた。
急いで帰りの支度をしているとなんだか扉付近が騒がしく感じた。
不思議に思い扉の方に目を向けるとそこには純太が立っていた。
どうやら私のクラスまで迎えに来てくれたらしい。
びっくりしながらも迎えに来てくれた純太の元へ駆け寄る。
「純太!校門の前で待ち合わせじゃなかったの?」
「なんかこういうの初めてで待ちきれなくてな。つい迎えに来ちまった」
赤面している私を見て純太は微笑む。
その光景にクラスメイトが若干ざわついていた。
すると、クラスの女子の一人が純太に寄って来て話しかけてきた。
「手嶋くん、今日部活休みなの?富永さんと遊ぶなら私も一緒に遊びたいなー」
上目遣いで純太の腕を掴もうとする彼女を見て、何人かの女子が私もと寄ってくる。
純太はそんな彼女たちからスルリと抜け出し私の横へとやってくると私の手を握り彼女たちに言う。
「ごめんな。君たちとは遊べない。実はこれから彼女とデートなんだ」
驚く私や女の子たちをよそに純太は私の手を引きズンズンと教室を後にする。
その横顔は真っ赤に染まっていてなんとも可愛らしい。
「そんなに真っ赤になるならあんなに堂々と言わなきゃよかったのに」
「だっ、だってあぁでも言わないとまた茉璃を不安にさせちまうだろ?」
「そうだね。堂々と言ってくれた純太、かっこよかったよ、ありがとう」
その言葉で純太は更に顔を赤く染め握っている手に力を込めた。
そして私も握り返す。
「なぁ、茉璃。これからもオレのそばにいてくれるか?」
「もちろん!」
私たちはそんな会話をしながら家路につくのだった。
fin.