第1章 生きて
決戦を前にピリピリとした緊張は最高潮になり、私は刺激しないようにまたお部屋で大人しくするのが精一杯だった。
私はモビーディック号から他の船に移り、所謂隠し玉の船に乗っていた。戦場に最初から堂々と立つなんて自殺行為だ、”エースを助けて私も生き残る。
_それが第1目標だった、え?そこは死んでもエースを〜とかじゃないのって?
ばっか、最初から死ぬ気でどうするんですか。私の生命力はバギー船長並みですよ!
....なんかベジータの戦闘力みたいな名乗りになっちゃった
そもそも、小娘一人が戦場に立ったくらいでどうにかなるならエースは死んでない。
来るべき時に向けて、漫画を握りしめた。
船が上がっていく独特の感覚がする。
エレベーターのような、エスカレーターのような
そうして強い衝撃と共に、雄叫びをあげてみんなは走り出した。
私は戦場には出ないようにと念をおされて、言われた通りに船に隠れていた。
言われずとも出るつもりはないけれど。
前のほうへといき、窓からこっそりと外の様子を伺う大声はこちらまで轟いていた
「「「白ひげが広場に降りたぁ〜〜!!」」」
「野郎どもォ!エースを救いだし!!!海軍を討ち滅ぼせぇ!!!小娘が繋いだ情報ひとつ、無駄にすんじゃねぇぞ!!!」
...セリフが変わっている
_小娘。私の方を一瞬白ひげが向いた気がした。ここまでの出来事で確信してくれたんだ、彼..いや、彼らは、隊長格のみんなともちらりと目が合う。
_行ってらっしゃい。....どうか、どうか皆...無事で、どうかエースを...助けて...!オヤジに赤犬の猛威が振るわれる、そしてやはり..歳には勝てず、ついにオヤジが倒れた。
ひとつ、違ったのは__マルコの方を見れば、険しい顔ではあるが目の前の敵に集中していたダイヤモンド・ジョズも同じくだ。
事前に伝えていたとはいえそれでも実際今この瞬間にその対応ができるのは、流石隊長としか言えなかったダイヤモンド・ジョズは凍っていないし、マルコに手錠はない。
涙が溢れそうになるのを抑えるまだ、まだだ。
それでも運命を変えられたのは紛れもない僥倖だった。
麦わらのルフィ。遠くからでも彼の麦わら帽子はよく見えた、戦場を飛び回る彼を目線で追いかければついにエースへの道ができる。
賽は、なげられた