第1章 生きて
やっぱり、そういう男だった
「戦いの結果、エースを助けられねぇのは、それ以上に悲しいことはねえ。俺にとっちゃあな...ただ小娘、お前みたいなただの小娘にとって、それがどうしたってんだ?」
白ひげの目が、私を射抜く
正直に話さなきゃ、私は信用して貰えない。
「....私....エースが好きだったんです。死んだことを9年も引き摺って...認めなくて。みんなもう忘れてるのに、私だけがそこに留まって」
そう、私の冒険はあの日から止まったままなのだ。
__永遠に失われた再会、笑顔、火拳
彼の意思だけを感じる度、彼が死んだのを実感する
「生きて欲しいんです。助かってほしいんです、でも私には力がない、強くもない、だから皆さんのお力を借りたいと厚かましくも頼むことしかできません。お願いします。全て信用しなくてもいいです、エースを助ける為に私の話を聞いてはいただけないでしょうか」
震える手を抑える
この人たちに見放されたらどうすればいい、どうやってエースをたすければいい。
ルフィ達と会うこともできないこの状況で。
「頭を上げろ小娘。」
白ひげの声が響く
「....。」
「お前の話、聞いてやろうじゃないか。マルコ、隊長を集めろ。あと、もう時間がねぇ。船を出すぞ」
いいな?というようにこちらを見るので、間髪入れずに頷く。間に合わなくなったら本末転倒だ、島に停泊してもらう意味なんてない。
白ひげさん、そしてこれからくる隊長達にどう説明しようかと考えあぐねて、そうだとリュックの中身を開いた
海軍本部がここ、処刑台がここで青キジが凍らせた海がここで......大将は色で表現しよう、ガープおじいちゃんがセンゴクさんに抑えられてるのがここだったかな、それで
そう夢中で書き写していれば、隊長格がぞろぞろと集まってきた
一旦漫画を閉じてそちらを見る
「へー、この嬢ちゃんが」
そういって腰を曲げてこちらにぐいっと顔を寄せるのはイゾウさん
り、リアルで見てもお顔が綺麗な人だなぁ...!
謎の感動を覚えながら、みんなが私を囲むように座ったのを見て、コホンと咳払いした