第1章 生きて
妙な女に憑かれたな
後ろからついてくる足音と気配を感じながらマルコはため息をつく。
こんな時に構っている暇はないのだが、見た所ごく普通の女だ。歩くスピードをあげれば小走りになるし、敵意も感じない。
これが演技ならあっぱれという話だが、それほどの実力があるなら白ひげ海賊団にわざわざ手を出そうなんざ考えねぇだろう
仕方ない、と目の前に見えたモビーディック号をみてひとつため息をつく
取り敢えず事情を聞いてみるかよい
「マルコ、後ろの女誰だ?」
「オヤジに客だよい」
皆の疑問にマルコは簡潔に答えながら迷いなく歩いていく。
私にとっては初めてみるものばかりで思わず心が沸き立ってしまうのを感じながらもはぐれないようにマルコの目立つ色を追いかけた
マルコが一際大きなドアをノックする
「オヤジ、オヤジに話があるって客だよい!」
「...入れ」
そうして、私はその部屋に足を踏み入れた
大きな部屋だ、広くて目眩がするくらい
ぽかーん、とあほ面を浮かべる私を呆れた表情でマルコが見ているのに気がついて慌てて視線を戻す
「は、初めまして。モモ、といいます」
取り敢えず名乗らなければ、と白ひげに頭を下げる
「それで、俺に話ってのはなんだ。うちの息子は今ちょっと殺気だってんだァ、小娘1人で近づくようなとこじゃねぇぞ」
「ごもっともです、お気遣い痛み入ります。」
そう返せば、白ひげは少し目を細めた
「まぁいい、本題に入れ」
「単刀直入に申し上げますと、このまま頂上戦争に皆さんがいっても...エースは死にます。貴方も、死にます。」
「な」
マルコが声を上げる
「....そうか。」
白ひげはただ、そう呟いた
言葉の意味を測りかねてそちらを見る
「”それがどうした”」