第3章 お仕置き
ことの発端は昼過ぎまで遡る。
いつものように美奈子は大学帰りに夕飯の買い出しのため商店街にいた。
買い物を済ませたとき、つい先日オープンしたばかりのケーキ屋を見つける。
「すいません。ケーキ下さい」
琉夏の好物であるの甘味をお土産に買いそろそろ家にに帰ろうとした時だった。
「おやおや?見ない顔~」
ニヤニヤ笑いながら、服をだらしなく気崩した男がエミンに近寄ってきた。
「こんな、かわい子ちゃん、いるんだ~」
エミンが立つケーキ屋の入口に立ちはだかり、ジロジロとなぶる様にエミンの頭から足元までを眺めてくる。
その様子を見た店主やほかの客は眉をひそめて、ヒソヒソと話をしてくる。
漏れ聞こえる内緒話からは、この辺に出没する輩の一人らしい。
「…すいません。急いでますから。」
「釣れないなぁ。何も取って食おうってわけじゃねぇ。ちょっとお茶に付き合って欲しいだけだぜ?」
立ち去ろうとする美奈子の肩ににガバッと腕を回し、強引に抱き寄せようとする。
「きゃっ!」
驚いて甲高い声を上げると同時に、琉夏へのお土産が入っているケーキの箱を落としてしまった。
「は…離して下さい!」
強引に抱き寄せて来る男の腕を引き離そうとするが、小柄な美奈子には、大人の男を振り払えるわけもなくジタバタと藻掻くだけになってしまう。
周囲を見回しても年寄りやサラリーマンが通り過ぎるも関わりたくないのか、視線を合わそうとしない。
「ふーん…いい匂いするじゃねえの」
男はゲラゲラと下品に笑いながら美奈子の首筋に鼻を近づけクンクンとその匂いを嗅いでくる。
「や!やぁっ!」
琉夏以外の男に近づかれる不快感に増して、首筋に近づかれる不快感も加わり美奈子の目に涙が浮かんだ。
「お前、いい女だな。気に入った、俺の女にしてやる!」
男はにやりと笑いながら、無理やり美奈子を何処かへ連れていこうとする。