第2章 一緒に
横を見ると明るい日差しが差し込む窓が見えた
フリーザの母船から見るのとは全く違う光景に瞬きを繰り返す
「そうだ……ルクリアとかいう地球人の……」
昨日の事を思い出すとゆっくりと身体を起こした
棚に置いていたスカウターを取ると左耳に着ける
髪に指を通しながら立ち上がるとベッドを離れた
「俺は戦闘民族、サイヤ人だぞ……何で女の言いなりになってるんだ」
さっさとカカロットを見つけて星の侵略に行かなければ
ルクリアと顔を合わせたら一言言って家を出よう
そう思いながらドアを開けるといい匂いが鼻をかすめた
部屋を出て廊下を進むと、ルクリアの足音が聞こえる
階段を下りていくとキッチンに彼女の姿が見えた
「あ、おはようございます、ラディッツさん」
「……お……おはよう……何をしている?」
「朝御飯を作ってました。まだ時間が掛かるんですが……」
「ルクリア、俺は……」
「あの、作っている間にシャワーはどうですか?すっきりしますよ」
「あ……ああ」
「じゃあ、また着替えを出しておきますね」
「……分かった」
どうして彼女の顔を見ると言いたい事が言えなくなるのだろう
そんな事を思いながら階段を下まで下りる
リビングを通って廊下に出ようとしたところで窓が目に入った
青空の下で複数のタオルに混ざって自分の服が干されている
戦闘ジャケットは台の上に置かれていた
紐に下げる事が出来なかったのだろう
そう思っているとルクリアが側に寄って来た
「あの服、変わってますね」
「戦闘ジャケットか?」
「そう言う服なんですね。洗濯機が回らなくて、あれだけ手洗いしたんです」
「そ、そうか……悪いな」
「いいえ。何か、動き辛そうな服に見えますが……」
「戦うために作られたジャケットだ。見た目と違って動きやすいぞ」
「そうなんですか……あっ!」
キッチンの方から聞こえた音に慌ててルクリアが側を離れる
火を弱めると吹き零れそうになっている鍋の蓋に手を掛けた
「熱っ……」
持ち上げかけた蓋が手から滑り、床に落ちる
蒸気が触れた手を見ようとすると横から手首を掴まれた
そのまま引っ張られ、シンクの方へと連れて行かれる
「ら、ラディッツさん……」
「大丈夫か?」