♡Happy Birthday dear Erwin ♡
第1章 Happy Birthday dear Erwin
「日本を発って、三ヶ月で十キロ増だ」
「じゅ……っえぇぇ!!?こっ、えぇ!?」
「昔から太りやすいんだよ……。帰国を前に、お前にいい格好したくて取り急ぎではあるが断酒し、ジムに行って自分を追い込みながら作ったんだ、この体は……。昨晩、酷く興奮したのは間違いないが、そうでなくてもお前にどうこう言える立場じゃないんだよ俺は」
カッコつけの見苦しい悪足掻きだ、と本気でしょぼくれて乾いた笑いを零すエルヴィンの横にいき、腹を撫でる。
「見苦しいなんて、そんな……。……ねえ、これ。ずっと体型変わらないなって思ってたのに、努力の塊だったんだ。本当に、エルヴィンってよく自分にストイックにできるよね」
「ストイックなら暴飲暴食はしないさ」
「増やす事は簡単だけど、減らすのは本当に難しい、分かるでしょ?……私にはここまで出来ないもん、ほら」
エルヴィンの手を腹に押し付けると、手が重く腹に沈む。
「私はエルヴィンに体さえ見せず、痩せたらまたスキンシップもとればいいって、甘えて今まで過ごしてた。幻滅されるかもって思いながらもね。だから、エルヴィンは本当すごいよ、私の為なんでしょ?見苦しくも、悪足掻きでもない。私は嬉しいよ。だから私もエルヴィンの横にいても恥ずかしくない女になるね……だから少しだけ、ちょっとだけ時間ちょうだい」
二人で笑う。
「程、素敵な女性は世界中どこにもいないな。……」
「……ん?」
「これからも変わらず俺の隣で、こうして誕生日を祝ってくれるか?」
「っうん、もちろん!エルヴィン、生まれてくれて、出会ってくれてありがとう」
「……ああ、こちらこそ、ありがとう……!」
額を合わせて仲睦まじく笑い合う両親には目もくれず、哺乳瓶を手にミルクを飲み終わった我が子。その小さな手が床に空の哺乳瓶を落とす音で我に返った二人はまた、照れた笑いを我が子に向け、一日遅れの誕生日会を再開した。
- Happy Birthday deer Erwin /Fin -