第3章 賞金首
「待てと言われて、待つ馬鹿はいねぇよ!」
「やったぁ、野球だー!」
「ジュウシアム、右30度」
「アイアイサー!」
ジュウシアムはありったけの大砲の弾を、イチアルの指揮のもとに金属バットで打ち始めた。
「ボゥエ!!ホームラーン!!」
だが他の海軍兵たちが船に乗り込んでくる。
「キャプテン○○!今日こそお前を処刑してやる!」
「はん!やなこった!」
「俺が相手だぜ、ソルジャー!」
カラ松が○○の前に立つと、海軍兵たちが驚いた。
「お、お前はカラファー!!処刑されたはずだぞ!!」
「ひぃい!化けて出たぁ!!」
カラ松も空気を読んで、剣を振りかざしながら言った。
「うらめしやー!!」
「うわぁあああ!!」
「馬鹿もん!!そっくりなだけだ、惑わされるな!」
「イチアルです。クズです、燃えないゴミです」
急に後ろから声をかけられ、慌てふためく海軍兵。
「ぎゃああああ!出たああ!!」
「ボゥエ!ボゥエバー!」
「海賊、なめんなよ?!」
「あはっ。僕を狙ってもよかったの?末代まで祟るよ?ろくな人生、送れないよ?いいの?知らないよ?祓ってもダメだからね」
「ひぃいい!!」
「くそっ、退散だ!」
海軍兵たちは逃げていった。
「もう終わり?つまんなーい」
カラ松は疑問をぶつけた。
「皆、賞金首なのか?」
全員うなずく。オソワズが答えた。
「俺は1億$、チョロカンは5800万$、イチアルは5600万$、ジュウシアムは4000万$、トドクスは3700万$」
「船長はカラファーが処刑された時に看守と貴族を数人仕留めたから、桁外れな賞金がついてるんだ」
「それでも間に合わなかったけどね」
「後悔してるのか?」
「そりゃ、ね。助けたかったよ、ほんとは。でも、邪魔が入ってね」
「憲兵が、子供たちをけしかけたんだ」
「僕らが子供たちを殺せないのを知ってて、ね」
「………最低な奴らだな」
「憲兵も海軍も、海賊を始末するのに理由なんてないのさ。海賊だから、で片付けられる。処刑の時に読み上げる罪状も、実際はやってないことばかり並べ立てる」
カラ松の顔が怒りに満ちている。
「本当に、そっくりだよ。勘違いしそうになる」
○○の手がカラ松の頬を挟んだ。
「輪郭まで、そっくりだね…」