第4章 カラファーとカラ松
「カラファーも正義感が強くてね。だからこそ、子供たちを先に助けようとしたあたしたちを見て、満足そうに笑ってたんだろうね」
そして目に涙を浮かべた。
「カラ松はカラファーじゃない。分かってる、分かってるんだよ。自分に何度も言い聞かせて来た!けど、そんな言葉じゃ割り切れないほど、似てるんだよ!似すぎてるんだ!」
○○の腕がカラ松の首に回され、抱きしめられた。
「勘違い、してもいいのかい?」
「ああ。ここにいる間俺は、カラファーになる」
カラ松の言葉に、○○が目を見開いて見つめた。浮かんでいた涙がこぼれ落ちた。
「カラファー…!!!!」
何度も口付けられ、少し罪悪感を感じるカラ松は、心でカラファーに詫びた。
(悪いな、カラファー。だが今だけ、ここにいる間だけ、お前でいさせてくれ。俺も○○に惚れたんだ。○○は必ず守る。だから、頼む。俺のこの気持ちを、許してくれ)
「お帰り、カラファー」
「カラファー。船長を泣かせちゃ、駄目でしょ!」
「……カラファー。色々と、ごめん」
「カラファー兄さんが帰って来たぁ!」
「ま、船長がいいならいいか」
オソワズたちも、カラ松が演じるカラファーを受け入れた。
その日からカラ松はカラファーとして、過ごすこととなった。
カラファーになってから、○○がやけに女らしくなったように思う。だが ○○のその愛が、自分に向けられたものではないと分かっているからこそ、心が少し痛む。
やはり自分は、カラファーにはなりきれない。ただの他人の空似でしかない。
○○にはトイレに行くと言い残し、カラ松はオソワズたちに相談してみた。
「オソワズ。みんなも聞いて欲しいんだが」
「ん?どうした、カラファー」
「何、何ー?」
「カラファーのことを、もっと知りたいんだ」
「はあ?お前、何言ってんの?お前がカラファーじゃん」
「やだなぁ、カラファー兄さん。若いのに、もうボケたの?」
「違う!俺はカラ松だ!どうがんばっても、カラファーにはなれない!」
するとオソワズが、肩をポンと叩いた。
「お前はお前でいいんだよ。俺たちが見間違うくらい似てんだから。仕草も、しゃべり方も、笑い方も。無理に変わろうとしなくてもいいんだ。俺たちがお前に合わせればいいんだよ」