第2章 super moon
「やったぁ、宴だ!」
「カラ松。ケーキ作れる?」
「いや、作った事がないんだ。ソーリー、すまない」
「あたしが作るよ」
「おおっ!船長の手作り!」
「ジュウシアム、倉庫から樽持って来い!いいやつな!」
「アイアイサー!」
カラ松と○○は厨房に入った。
早速調理を始めるカラ松と、ケーキ作りを始める○○。
「へえ、なかなか手際がいいね」
「一応、マザーの手伝いをしていたからな」
ふとカラ松の手が止まる。その横顔は、淋しそうに見えた。
「帰りたいか?」
「……どうなんだろう……。兄弟たちにあそこまでされて、帰ったところで受け入れてくれるかどうか…。兄弟の輪から外されて、どんな顔をして帰ればいいのか…」
「まあ、今は帰る方法もわからないからね。ゆっくり考えな」
スポンジを焼いている間にクリームを作る○○。
「あっ」
勢い余って、クリームがカラ松の頬に飛んだ。
「悪ぃ!」
○○がそのクリームを、舐め取る。
「え…。ええっ?!」
「仕方ないだろ、両手がふさがってるんだから」
「あ、ああ…。そうだよな。はは…」
たくさんのごちそうが出来上がり、甲板に持って行くと、オソワズたちがすでに待機していた。
「待ってました!」
「船長は?」
「まだケーキを作っているが?」
「そっか。なあ、カラ松。お前さあ、船長にもため口じゃん」
「ああ、そうだな」
「船長は女だけどさ、怒るとおっかないんだよね」
「そうそう。僕らがため口で話そうものなら、無言の圧力かけてくるよ?」
「俺たち本当は、六つ子だったんだ」
「もう一人はカラファーって名前なんだけど、カラ松そっくりでね。だからため口でも、何も言わないんだろうな」
「そのカラファーは、どうしたんだ?」
「……死んだよ」
「え…」
「海賊狩りがあった時、俺たちを逃がすために囮になって、捕まって…」
「船長も俺たちも、必死に助けようとしたけど無理だった」
「そのまま処刑されたんだ。でもカラファーの顔、笑ってた」
「満足そうだったよね」
「カラファーは、あたしと結婚するはずだった」
「船長…!」
「カラ松が現れた時、カラファーかと思ったさ。けど、違うって思った」
「僕らもびっくりしたよね」
全員がうなずく。