第8章 カラ松の帰還
そこへ松代も出てきた。
「カラ松!お前、今までどこ行ってたんだい?!とにかくお入り。お前の分の梨、取ってあるから、食べなさい」
「マミー!!ありがとう!心配かけて、すまない」
「あんたは次男なんだから、しっかりしなさいよ?」
「任せとけ!」
「なあなあ、カラ松。その本は何だ?」
「クソ松が本?くっ。何をとち狂った?」
「ノンノン、ブラザー。俺は素晴らしい冒険をしてきたのさ。そこで自分磨きとは何かを知ったんだ」
「え?言ってる意味が分からないんだけど!」
「ふふーん。その本を読めば、分かるさ」
おそ松たちは本を開いた。が、自分たちの今までのことが書いてあるだけで、カラ松の冒険譚などどこにも載っていない。
「何だ、この本?!」
「燃やしてしまおう」
一松が言ったとたん、カラ松が本を取り上げた。それはまさに、電光石火の早さだった。
「ブラザーたち…。この本を燃やしたり捨てたりする事は、この俺が許さん!!」
カラ松の目は本気だった。
「だってカラ松のことなんて、全然載ってないもん!!」
「そんなバカな!!」
カラ松が開くと、間違いなくレグルス海賊団との冒険が書かれていた。
「そうか!この本は、開いた者の経緯が書かれるのか。なら、俺と一緒に読めば、どうだろう?」
カラ松の周りに兄弟たちが集まって、本を見る。
「おおっ!海賊だ!」
「かっこいい!」
「え。これ、カラ松か?」
「イエース、オフコース!」
「船長、かわいいな」
「こいつら、俺たちそっくりじゃん」
「ここで俺は、頼れる男とはなにかを学んだ」
「このカラファーって奴、カラ松に似てたんだな」
「だが俺より男らしくて、かっこよかったぞ」
「会いたい!」
「そう言うとは思っていたぞ。だがな、もう一度行ったら俺は、こっちの世界へは戻らないつもりだ。だからせめてマミーとダディーがいる間は、こっちにいるさ」
「一緒に行けばいいじゃん」
「駄目だ!海賊は常に命を狙われている。海にいても陸にいても、同じだ。マミーとダディーを殺させる気か?!俺には出来ない!」
一松がカラ松の胸ぐらを掴んだ。
「おい、クソ松!!お前、自分だけいい子ぶってんじゃねぇぞ!!」
「いい子ぶるとかの問題じゃない!!お前も見ていただろう?!憲兵に捕まった俺を!海軍に追われた俺たちを!」