第8章 カラ松の帰還
宝箱の中には、金貨がどっさり入っていた。
「船長、こんな物が入ってました!」
トドクスが持ってきたのは、本だった。表紙にはタイトルがない。
「カラ松!」
「ん、どうした?」
「あんたの世界に帰る本だよ」
「え?!」
カラ松は表紙を開き、ページをめくった。が、ページは白紙だった。
「え、何も書いてn………えええ?!」
みるみるうちに内容が書かれていく。それはまぎれもなく、カラ松がこれまで歩んできた人生そのもの。事変からレグルス海賊団に入ったあとまで、事細かに書かれている。
見ていたカラ松の手が、ふと止まった。カラ松がいなくなった後の松野家の様子が、そこにあったからだ。
『はぁ……。今日も見つからなかったな』
『どこ行っちゃったんだろう、カラ松兄さん』
『僕、早く兄さんに謝りたいよ』
『あんな奴、どうでもいいし…』
そう言う一松の隣で猫がしゃべった。
『僕が悪かったよ。早く帰ってきて』
「ぶ……ブラザーたち…!!これ、どうやってここに帰るんだ?!」
「…悪いけど、そこまでは分からないんだ。誰も試したことがなくてね」
「そんな……。…いや、考えるんだ!何か方法があるはずだ!」
帰りたいと強く念じた時、本が輝き出した。
「カラ松、お別れだね」
「寂しくなるぜ」
「また来いよ、カラ松」
「カラ松のご飯、美味しかったよ」
「また歌おうね!」
○○はカラ松に口づけた。
「大好きだよ、カラ松」
「俺もだ、○○」
「またな、みんな!!」
「本は持って行きなよ!」
カラ松はうなずいて、本をしっかり持つと、輝きと共にカラ松は本を持ったまま、消えた。
「……。さあ、みんな!出航だ!」
「面舵いっぱい!ヨーソロー!」
レグルス海賊団の船は、新たな旅に出た。
一方カラ松は、家の前に立っていた。
「おお、マイホーム!!マイワールド!!」
カラ松の声を聞きつけたおそ松たちが、バタバタと出てきた。
「カラ松!!」
「カラ松兄さん!!」
カラ松はその場で土下座した。
「え?!」
「すまなかった、ブラザーたち!!俺のせいで、嫌な想いばかりさせてしまった!!許してくれ、この通りだ!!」
「え、いや、お前にひどいことしたの、俺たちだからね?」
「それは違うぞ、ブラザー!俺が悪かったんだ!」