第7章 髑髏島
立派な御霊送りの巫女になってね。お母さんは遠くから、あなたのことを見守っています。どうか、あなたが幸せでありますように。
○○へ 母より
「そんな……!!あたし、知らなかった…。髑髏島があたしの故郷だったんだ…!どうして御霊送りができるのか、ずっと疑問に思ってた…。こういうことだったんだ…」
カラ松が○○の肩を抱いた。
「大丈夫か?」
「うん、平気。ありがとう、カラ松」
「船長。この宝箱はどうします?」
「決まってるでしょ?持って帰るよ!」
「アイアイサー!」
宝箱を船に乗せると、辺りは真っ暗になった。そしてスーパームーンが姿を現した。まだ夜の時間ではないのに。スーパームーンが出る時期でもないのに。
「舞えってことなんだろうね」
○○は船内で仕度を整え、舞った。
「うぉ!!」
島からおびただしい数の魂が出てきて、○○の周りを取り囲む。○○が両手を上げると、一斉に天に昇った。そのとたん、海が揺れ始めた。
「島を離れます!」
チョロカンが必死に舵を操り、島から離れた。
「船長、島が…!!」
髑髏島は、静かに崩れ去った。かつての栄華と共に。そして空は明るさを取り戻した。
「あたしが来るのを、待っていたんだろうね」
気丈に振る舞う○○の手が、震えているのを見たカラ松は、その体を抱きしめる。
○○も抱きしめ返したかと思うと、声を上げて泣き叫んだ。
「あたしはずっと、一人で生きてきたんだ!親の顔も知らなくて、誰が育ててくれたじゃも覚えてない…!色んな奴に預けられて、こき使われて…!でも全部、これのためだったんだね…」
「ああ、そうかもな。俺も、なぜこの世界に来たのか、分からなかった。でもお前たちみんなのおかげで、自分を見つめ直すことができた。礼を言う。ありがとう」
「あたしこそ、カラファーとの心残りをなくせて、感謝してるよ。ありがとう」
「その、○○。カラ松として、言わせてもらう。俺は、お前が好きだ!カラファーの代わりじゃなく、松野カラ松として、告白するぜ」
「カラ松…。あたしも、松野カラ松が好きだよ。今のあんた、すごくかっこいいもん。男らしくて、ドキドキする。けど、あんたは元の世界に帰りなよ。兄弟とのわだかまり、解消しな」