第7章 髑髏島
髑髏島について
髑髏島は昔、貿易の盛んな島であった。しかしながら、不思議な術を持つ一族がいて、その術を身に付けようとする者があとを絶たなくなり、やむなく島を髑髏の外観を活かして呪われた島という観念を植え付けることとなった。ううううい
御霊送りについて
御霊送りとは、さまよえる魂を冥界へと送るための、神聖な儀式である。
これを行えるのは我々髑髏島の女のみで、一子相伝の術であり、門外不出の技法である。
なぜ門外不出なのか。それは髑髏島の者でない者が行った場合、魂は冥界へ送られず、永遠にさまようことになるからである。
御霊送りをする時は裸になり、薄衣をまといてのち、舞を舞う。この時舞を間違うと、魂はその場に縛られることとなる。
舞を知る者は巫女の家系の者のみで、先述したように一子相伝で伝えられる。他人に教えてはならない。
異世界送りについて
異世界送りは禁忌の術とされている。何故ならば、異世界に送ったあとどうなるかが、判明していないからである。しかしながら、異世界送りの術は御霊送りとは異なり、舞を必要としない。必要なのは、異世界へ行く者が髑髏島に伝わる本を開き、その世界を強く念じることである。
異世界へ行くための本は、表紙に題名がなく、開いても白紙になっているという。
ただし、実際にその本を開いた者がいないため、この術が真実かどうかは定かではなく、開いた後どうなるかはわかっていない。それでも行くというのならば、自己責任の上で行うこと。
「………え…っ。あたし、髑髏島の住人だったってこと?何それ…。そんなこと、知らない!!」
本を床に叩きつけると、紙が出てきた。拾い上げてみる。するとそれには、こう書いてあった。
かわいい私の娘へ
これを読んでいるということは、恐らく私はこの世にいないのでしょう。
この島は貿易をやめてはならなかった。収入がなければ暮らしてはいけない。もう食べる物もなくなった。御霊送りのあの舞いは、そうそう覚えられるものではなかったのに。覚えたところで、御霊送りができるはずもなかったのに。
あなたは小さいながらもちゃんと舞いを覚えていて、お母さんはびっくりしました。せめてあなただけでも生きて下さい。つらいこともあるでしょうけど、生きていれば必ずいいこともあります。