第6章 カラファーとの別れ
「ジュウシアム、野球するのが上手になったな」
「あい…あい…。ぐすっ」
「トドクス、洗濯が板についてきたな。これが本当の、洗濯板だ」
「ちょっと…!こんな時にまでそれ、言う?!いったいよねぇ!!」
「その痛いというのは、どういうことなんだ?俺はお前たちを殴ったりしてはいない」
「そういう痛いじゃないんだよ。言うなら揶揄、たとえだよ」
「そうか、たとえなのか。よかった」
そして意識をカラ松に返した。
『カラ松、ありがとう。おかげでハニーやブラザーたちとの心のわだかまりを、解消することができた。心残りはもう、ない。ただ、カラ松。お前はブラザーたちからの頼みを何でも聞くのが優しさだと思っているようだが、それは違うぞ』
「どういうことだ?」
『駄目なものは駄目、間違っているものは間違っているとはっきり言うことが、本当の優しさだ。何でも言いなりになるのは、ただの甘やかしでしかない』
「だが俺は、ブラザーたちを傷つけたくはない!」
『頼られないのが嫌なんだろう?だが何でも押し付けるのは、頼っているからではない。いいように使われているだけだ』
「……ブラザーたちは、俺を頼っていないと…?」
『自分がしたくないことを、お前が断らないのをいいことに、押し付けているだけだ。本当の意味で頼られる男になれ』
「本当の、意味で……」
『お前ならできるさ』
今まで空を覆っていた雲が晴れ、スーパームーンが姿を現した。
『今度こそ、俺を天に送ってくれ。過去を振り返るな。今すべきことを見極めるんだ。俺はいつでも、見守っているからな』
「カラファー…」
「カラファー兄さん…」
「来世は絶対、結婚してね」
『ああ、約束しよう』
「来世も六つ子で生まれような!」
『ああ、もちろんだ!』
○○は衣装に着替え、御霊送りを始めた。カラファーの魂が、ひときわ明るく輝く。
『みんな!先に行って、待ってるぜ!己の心に獅子を掲げろ!レグルス海賊団の名に、恥じない生涯を送れ!また会おう、アデュー!』
「カラファー兄さん、今までありがとう!」
「カラファー、大好きだぞ!」
「カラファー兄さん!来世は兄さんに優しくするから!」
「俺も、お前のように生きてみるよ」
カラファーの魂は、他の魂と共に、天に昇った。
「いっちゃったね」
「うん」