第6章 カラファーとの別れ
「夜まで待とう。情報では公開処刑までまだ日はある」
「不幸中の幸いですね」
「イチアルなら、夜目が利く。大砲の指揮、頼んだよ」
「アイアイサー」
「イチアル兄さん。これ、渡しておくね」
トドクスは双眼鏡を渡した。
「ありがと」
「陽動はどうしますか」
「あたしが行く」
「いや、俺が行きます」
そう言ったのは、オソワズだった。
「船長はカラファーを頼みます!」
「僕も行くよ、オソワズ兄さん!」
「トドクス、ぬかるなよ?!」
「誰に言ってんの?!船長、女物の服を借りますね」
「なるほど、女装か!」
やがて夜になり、オソワズとトドクスは女装して救助用のボートに乗り、夜の海を漕ぎ出した。
憲兵たちがボートに気をとられているうちに、レグルス海賊団の船が牢屋に近づく。
「左20度」
「アイアイサー!ボゥエ!!」
イチアルの指揮でジュウシアムが大砲を打つ。弾が牢屋の壁を破壊する。
『そら、来たぞ!』
(ああ!)
○○が投げたロープを掴んだカラ松は、そのロープを伝って船に乗ろうとするが、むざむざ逃がす憲兵たちではない。
「総員、カラファーの偽物を撃て!!」
銃を構える憲兵たち。
「させないよ!」
いつの間にか○○が来て、憲兵たちを剣で切る。ボートから上がったオソワズたちも合流し、大乱闘が始まった。
チョロカンも銃を構える。ジュウシアムはイチアルの的確な指示で大砲を打ってくる。陸と海から攻められ、憲兵たちは撤退を余儀なくされた。
カラ松を無事取り戻したレグルス海賊団は、意気揚々とその場から離れた。
『カラ松、すまん』
(いいって。思い残すことのないように、しろよ)
『ああ』
カラファーはカラ松の意識を完全に乗っ取った。
「○○。戻ったぜ」
「カラファー!よかった…!」
しっかりと抱きしめ合う。
「今度こそ、助けることができた…!」
「信じてたぜ」
抱きしめ方で気づいた○○は、体をわなわなと震えさせた。
「カラファー……!本物の、カラファーなの……?!」
「ああ、今はカラ松の意識を乗っ取らせてもらっている」
「でもあの時、空へ送ったはず……!」
「○○俺に執着しすぎてしまったから、天に昇れなかったんだ。だからこうして、お前の前にきた」