第5章 カラファーとカラ松その2
(分かった)
とたんにカラ松の意識の中へ、カラファーが入ってきた。
カラファーは音の違う場所を確認し、音を確かめるために使っていた石で、その場所に×を書いた。
柵ギリギリまで下がり、×印目掛けて跳び蹴りを繰り返した。さっきは片足だったのに対し、今度は両足で蹴る。
(おおっ!なるほど!)
『考えた方法がダメなら、他の方法を考えることも大事だ。何にしても、やり方が一つしかないと決まった訳じゃない。色々あるはずだ。一気に色々やろうとするな。一つ一つ、片付けていくんだ。色々詰め込もうとするから、頭がパンクするんだ。そんな時は、心を落ち着かせることも大事だ』
(そうか…、これがカラファーか。確かに俺とは違うな。俺は泣いてばかりの弱虫だった。泣くよりまず、行動を起こさないと駄目なんだな。そのためには、その行動に対して何が大事かを考える…。そして考えるために、冷静になる…)
『その通りだ。常に心を強くしろ。そうすれば、泣かなくなる。…俺も前はそうだった。何かと泣いていた。だが両親が死んだとき、それでは駄目だと気づいた。そして俺は、泣かなくなった』
やがて蹴り続けていた壁が、ついに崩れた。
(やった!!崩れたぞ!)
だが抜け出すにはまだまだ小さい。
『その穴から離れておけ』
(分かった)
『○○が来たら、悪いがお前の意識を支配させてもらう。心配するな、終わったら返す』
(ああ、了解した)
一方その頃○○たちは、カラ松を助けるために作戦を考えていた。
「牢屋の位置はここです」
「まず、海から行く方法ですが、カラファーなら何かしら行動しているはずなので、その行動の跡を探します」
「ただ、カラファーではなくカラ松ですから、行動を起こしていないことも考えられます。その場合も踏まえて、陸から行く方法も考えます」
「陸から行くなら、先ず騒ぎを起こして混乱させます。それに乗じて乗り込みましょう」
「俺、町中の猫を集めるよ」
「頼んだぞ、イチアル」
「ん」
外を見ていたジュウシアムが、走って来た。
「壁に穴が空いてるのを発見!大砲の用意しマッスル!!」
「今度こそ、必ず助け出すよ!!」
「アイアイサー!!」
全員が甲板に出て、壁の穴を確認した。
「……カラファーなら、ああするよな」
「うん、オソワズ兄さん」