第5章 カラファーとカラ松その2
オソワズはチョロカンの言葉を○○に伝えた。
「そうか。ありがとう、オソワズ」
「え、いや、別に。へへっ」
照れくさそうに鼻の下を人差し指で擦る。カラ松が腕捲りした。
「よし、景気付けにうまいものを作るか!」
「俺も手伝うぜ」
「サンキュー、ブラザー!」
オソワズと一緒に夕飯の支度をする。松野家では考えられないことだ。兄弟と何かをするのが、とても心地よかった。
「んー。セラヴィー!」
「おー、いい匂い!」
「兄貴、そこのレモンを切ってくれ。切ったらこれにかけるんだ」
「あいよー」
言われた通りにこなすオソワズ。手慣れているように思う。
「○○の手伝いをしていたのか?」
「おう。よくやってたよ」
切ったレモンを料理にかけると、さらに香りが広がった。
「おおおお!!たまんねー!早く食いてぇ!」
「味見をしてくれないか」
「やたっ!栄光の一口目だ!」
パクッと食べたオソワズの顔が、キラキラと輝いた。
「んめぇえええええ!!!」
「よかった。たくさん作るからな」
「イエーイ!」
夕飯の時間になり、皆がその料理に舌鼓を打った。
「んまぁあああ!!」
「めっちゃ美味しい!」
そのうちジュウシアムが歌い出した。
俺たち海賊 ヨーホー ヨーホー
獅子の心臓 小さな王
その名はレグルス ヨーホー ヨーホー
己の心に獅子を掲げろ
一等星の輝きを 己の心に灯せ ヨーホー
「一等星の輝きか」
カラ松は空を見上げる。
「ビューティフルスター、アーンドビューティフルムーン」
「また痛いこと言い出したぞ」
○○の肩を抱き寄せた。
「オー、マイハニー。マイスイートハート」
「船長もあんな痛いの、どこがいいんだろ」
「底抜けに優しいとこだろ?船長がやってた酒場を手伝おうって言ったのは、カラファーだしさ」
「そうそう。俺の運命の女を見つけた!って言って、毎日通いづめだったもんね」
「最初は断ってた船長も、ついにほだされてさ」
「確かに!」
「しかも力持ちだから、樽を担げた時とか、うっとりしてたしね」
「確かに!」
「乱暴されそうになったのを、カラファー兄さんが助けたこともあったよね」
「うんうん」
「俺の女なんで、とか言っちゃってさ」
見れば、いちゃついている。