第2章 君の歌声/土浦
※『君の音色/志水』の続きです。
↑にて友人キャラ、來村廻がヒロインとなります。
あの後の放課後…
結局俺は來村の練習に付き合わさせられるはめとなった。
“時間が無い”と言って断っているのに『1日に何度も弾けって言う訳じゃ無いんだから、大丈夫!』とか…保々無理やりつーか。
まぁ、來村は一度言い出すと聞かねーからな…ι
練習をする前の指ならし程度に弾くぐらいなら、いいか。
けど…
それより、今はコイツの心情を聞くのが先だな。
望や日野の前では「練習ができるーヽ(´▽`)/」とか言ってハイテンションだったのが…
今、目の前を歩く來村とはギャップがありすぎる。
なんつーか…沈んでる?
理由は…
まぁ、大体予想がつく。
「おぃ、來村…」
『んー?』
練習室の扉を開け入っていく來村は振り向かずに気のない返事を返す。
「お前…アレで良かったのかよ?」
続いて俺も部屋へと入る。
『“アレ”って?』
楽譜を鞄から取り、パラパラと捲る。
一切俺を見ずに。
「志水の事だ。好きだったんだろ?」
俺の言葉にピクリと動きが止まる。
だが、次の瞬間には元に戻り、ワザとらしく肩を下げた。
『……つっちぃ、どんだけー?乙女心が解ってにゃいにしても酷すぎ~、ここはあえて聞かないよーにするべきでしょー?』
確かに。直球すぎかもな。
だが…
「“何で”望を優先したんだ?」
どうしたものか…
気になっちまうんだ。
『…はぁ、つっちぃのお節介。』
「お前に言われたくねぇな。…で、何でだ?」
“まだ聞くか!”と睨まれたが、怯まない俺に來村は呆れ観念した。
『多分…2人とも好きだから、かな?」
「は?」
『もお!!聞ぃといて“は?”は無いでしょぉに~!!』
來村はぷっと頬を膨らませると、そっぽを向いた。
「いゃ…その…悪いι」
けど、お前…“多分”って…。
『そんな事より!!練習だよ、練習ー!!つっちー時間無いんでしょ?早くしなきゃ、せっかくの練習時間が減っちゃう!』
來村はさっきと打って変わって態度を一変させると、俺の後ろに回り、ピアノの前に突き出すように背中を押した。