第3章 新しい姿で
「いいってこった!」
かろうじて銃を持っていた手下たちは、チョロ松とトド松が仕留めていく。
「死ね!!」
背後に回っていた手下は、
「甘いよ」
一松が始末した。
「あわわ……。強いじょー…」
「戦闘スタイルから見て、素人ばかりの集まりだね。あれじゃ、松野ファミリーの足元にも及ばないよ」
「お、嬢ちゃん。いいこと言うじゃん」
「覚えてるじょー!!」
ハタ坊はもらったキャンディーをなめながら、逃げて行った。
「いやー、どこの誰かは知らないけど、助かっちった。あんがとね」
「ライターある?」
「あ、ああ」
カラ松がライターを渡すと、彼女はポケットから裁縫キットを取り出し、針を火であぶり、ライターを返した。
糸を通し、腕に突き刺さったままのナイフを抜いて、その傷を自分で縫い始めた。
「うわー。ワイルドだねぇ」
「痛くないの?」
「痛いけど、ほっとくわけにもいかないだろ」
「てかさ、何で俺たちの味方してくれたの?」
すると彼女はようやく顔を見せた。
「だから言ったろ?必ず帰って来るって」
彼女の首には、あの時のネックレスが光っていた。
「「○○?!」」
「ただいま、カラ松」
「お前……!どれだけ心配したか…!!」
「その点は、悪かったよ。けど、一松の言う通り、あれ以上迷惑かけたくなかったからさ、施設の院長のとこで修行したんだ」
「院長、生きてたのか?」
「ああ。院長は元々マフィアの出だからね」
「ね、ね!かっこよかったよ!」
「一松」
「え」
「これならカラ松のそばにいても、いいだろ?」
「え…。あ、うん」
カラ松はマフラーを引き裂き、縫ったばかりの○○の傷に巻き付けた。
その目には、涙が光っている。
「突然いなくなりやがって…!馬鹿野郎…!」
思い切り抱き締める。
「○○。カラ松兄さんはね、ずっと君を待ってたんだよ」
「そうそう。彼女も作らずにね」
「今日、改めてお前に惚れ直した。俺の女になれよ」
「カラ松…!」
○○もカラ松を抱き締めた。
指で○○の顎を上げ、口付ける。
「信じていた。お前が帰って来るのを、ずっと待っていた。もう離さない」
「うん。あたしも、離れないよ」
おそ松が二人を両手で包んだ。