第3章 新しい姿で
これまでに、色んな女に言い寄って来られた。が、その度に恋人がいると伝えてきた。従って他の兄弟たちには彼女がいても、カラ松はフリーのままだった。
「カラ松、もう諦めろって。あれから8年だよ?さすがに○○も、忘れてるって」
「そうだよ、カラ松兄さん。もったいないよ?」
「いや、○○の遺体を見るまでは、俺は諦めない」
「往生際が悪いよ?」
「ノンノーン。一途と言ってくれ」
「そこまでだじょー」
気の抜けるような声の主は、あの新聞の写真そのままだった。
「はいはい、これあげるから、お家にお帰り」
キャンディーを渡すと、喜んで受け取った。
「わーい!キャンディーもらったじょー!…じゃないじょー!ハタ坊は、闘争しに来たんだじょー!」
「できんの、お前?」
「馬鹿にするんじゃないじょー!みんな、行くじょー!!」
その一声で、10人以上の手下が銃を構えて出てきた。
「うお!」
「うわー………。えげつないね…」
「しかしまずいな。多勢に無勢か」
ニヤッと笑うハタ坊。
「撃てーーーー!」
ガガガガガ!!
おそ松たちは覚悟を決めた。が、いつまで待っても痛みがない。
「あれ?」
目を開けると、ハタ坊側の手下が数人倒れていた。
「な、何事だじょー?!」
「本物のマフィアなら、背後にも気を付けるもんだよ、坊や」
「誰だじょー?!」
「さあ?誰だろうね」
その人影は地を蹴って宙を舞いながら、ハタボーの手下たちを銃撃する。
そしておそ松たちの前に立った。
「早いとこ、戦闘態勢に入りな!」
「あ、ああ。恩に着る」
それは女だった。背中を向けているので顔まではわからない。が、おそ松たちの味方のようだ。
ガガガガガ!
再び彼女の銃が火を噴く。だがそれは、相手の武器を奪うだけだった。
武器を無くした手下たちはナイフを取り出し、襲いかかる。
「肉弾戦なら、こっちのもんだ!」
カラ松と十四松が地を蹴る。
次々と手下を倒す二人。
「こっちががら空きだぜ!」
手下の一人がカラ松に切りかかる。
「させないよ!」
すかさず彼女が間に入り、カラ松をかばう。手下のナイフが彼女の腕に突き刺さった。
その状態のまま、鋭い蹴りを食らわす彼女。
「大丈夫か?!」
「これくらい、なんともないよ!」
「すまん!」