第10章 Chapter 8
首にジリッとした痛みが走る
牙をたてて首に遠慮なく噛みつくバッターを慌てて引き剥がそうとするが力負けして動かすことすらできなかった
痛すぎて死ぬのかもしれないと頭の中でよぎったときにゾッとして腕と足で必死に抵抗した
「いっ…や、やめて」
傷口からジクジクと血が出てくるのを見たバッターは血を吸いとるようなキスを何回も始めた
最初は蚊みたいだなんて思っていたがその行為は傷口に染みるので耐えきれずに怒鳴った
「痛いッ、痛いってば!バカ!バッターの馬鹿!」
「…!すまない。」
正気に戻ったのか急いで首から口を離して慌てて傷口を手で押さえる
「痛い」
恨みのこもった目で見つめるとバツがわるそうにバッターは顔を背けた
「愛しくて、我慢しきれずに…すまなかった」
「く…首へのマジ噛みは止めて…!死ぬから!冗談抜きで私死んじゃうから」
「善処する」
ヒリヒリと痛む首を撫でればヌロッと唾液が手に付着した
ゲェッと思い急いで服で拭き、そのあと一発バッターの背中を殴った
(ダメージは無かったが殴れたので良かった)
「二度とやらないでよね…」
「どうだろうな」
「(ダメだこの人)」
この男は反省をしているのだろうか?否、していないのであろう
*
ゆっくりと首に血を止める為のテープを貼る
首の痛みに背筋がゾクッとする
だめだ、私もどうやらおかしくなったかもしれない
あの時は痛みでどうにかなってしまいそうだと思っていたが彼に殺されることも悪くないとも思っていた
<好き>を自覚するとこんなにも生き物はオカシクなってしまうのか
あの時バッターは私の血を吸っていた…つまり私の血がバッターの体の中に入って体に吸収されれば………
って…キモいわ!あぁ!本当にどうかしてる!
ハァ、少し息抜きにシャワー浴びてこようかな…
変な考えに呑み込まれたらそこで終わりなのだから
私は誰かを愛しちゃいけない……それでも受けとる愛は心地良い
……あぁ、愛することを許してくれるだろうか
愛とはなんとも恐ろしい…余計なことまで考えてしまう