第10章 Chapter 8
この世界の夜は真っ暗だ
それは何か変な意味でも違う意味でもなく言葉通り真っ暗なのだ
夜空に星は無く闇のような暗闇が広がっている
「…なんだか不吉、なんてね…」
「何を見ている」
夜風に当たっていたにそっと近付くとバッターは話しかけた
「空を見ていたんだけれど…あまりにも色がないから」
「所詮は作り物の世界にの言う星などあるはずがない。それとも元の世界に帰りたいのか?」
「…ん?」
最近言わなくなったと思ったらやっぱり気にしていたんだ彼は
未だに私が元の世界に帰ることを恐れているのだろう
確かに帰りたい時もある、それでも…何故だろう?どうしてか帰りたい気持ちが失せるのだ
バッターの側に居ると不思議と安心感を得られて落ち着く…いいや不思議なんかじゃない。
“理由は自分の中でもう分かっている”
「前までは帰りたいってすごい思っていたんだけど…変だね、今じゃ特に帰ろうだなんて思えないもん
帰ろうって思ってたらバッターと一緒に暮らしてなかったし、何も心配は……えっ」
ふとバッターの顔を見ると初めて見る表情が写っていた
悲しそうな顔、というよりなんだか今にも泣きそうだ
あのバッターがそんな顔をするとは思ってなくて面白くなってしまい笑うと表情の本人は気がついたのか慌てて後ろを向いてゴホンと咳払いをした
心地が良い雰囲気…今ならなんか口が軽くなって言えそうだ
「い、一度しか言わないよバッター!ちゃんと聞いてほしい!」
あ、それでも結構恥ずかしい…けど今しかチャンスが無い
「…なんだ」
「…いっ、いつもありがと………大好き…」
「!」
何てことだ”あの”バッターが顔を赤く染めているではないか(肌が白すぎて赤と言うよりは桃色だが)
気のせいだろうか?目も潤っているような…
「な、なあに?もしかして照れてる?可愛いヤツめ~」
自分も恥ずかしくなってツイちょっかいを出すと両肩をガシッと捕まれた
怒らせたかなと恐る恐るバッターを見ると彼は顔を過去最高だと言えるほど真っ赤にして震えていた
「あの…ごめ、」
「…………あまり調子に乗るな。くそ、こうなる予定じゃなかったのに、お前のせいだ…ああ畜生」
「あっ!?」
震える彼は何を血迷ったのかの胸元を掴みグイッと自分側に引き寄せると勢いのまま首に噛みついた