第23章 勝負の2日間(巻島目線)
観光は富永と東堂の意見を合わせて1日目に定番テーマパーク、2日目に浅草・スカイツリーを回ることになった。
ただ、今回の観光はただの観光ではない。
俺と東堂にとっては勝負の二日間だ。
きっとお互いが今か今かと2人きりになれるその瞬間を狙っている。
だからこそ、そんな機会はなかなか訪れない。
そんな中、最初に動いたのは東堂だった。
定番テーマパークの人混みに乗じ、富永のことを連れ出したようだった。
なぜあの時すぐに腕を掴んででも自分の元へ引き寄せなかったのかと後悔に苛まれる。
だがそんなことを考えている暇はない。
どうにかして2人を探し出さなくてはと焦っていると、携帯がポケットの中で震えた。
入っていたメールを確認するとやはり東堂からだ。
《悪いな巻ちゃん。先に想いを伝えさせてもらうよ。先程の橋の上にいる。とられたくなければ急いで来い》
俺は急いで橋へ向かった。
俺がついた頃にはもう告白は終わっていたようだった。
東堂は富永の手をひいてはいるが、2人の表情からして成功はしなかったのだろうということが見て取れる。
なんだかホッとしたようなそうでもないような、形容し難いなんとも複雑な気分だ。
これが東堂でなければ何も思うことはなかったのかもしれない。