第22章 観光二日目
展望回廊に着くと外はすっかり暗くなり、先程までの展望デッキとはまた違う壮大な景色が広がっていた。
蟻のように小さく見える自動車のライトやビルの電気、その全てが綺麗に光り輝いていた。
『凄い…』
「あぁ…予想以上ッショ」
2人で暫く見惚れていると、手摺に置いてある私の手の甲に巻島さんの手がそっと重なった。
その行動に驚き巻島さんの顔を見ようとすると、巻島さんにそれを止められる。
「富永、こっち向かずにそのまま前見て聞いてほしいショ。」
巻島さんのその言葉に息を飲む。
「お前が入学してきて、最初は可愛い子がいるって、そう思ってたショ。ただ、それだけだった。でも、日を追うごとに気持ちは大きくなって…富永がマネージャーになって、手嶋のこともあって…そのうちその気持ちもどんどん変わっていったショ。富永。いや、茉璃。俺はお前のことが…好きショ」
私は一瞬巻島さんの言ってることがよく理解できなかった。
だって、自分の片想いだと思っていたから。
毎日のように彼女らしき相手から電話が来ていたことを知っているから。
私は気がつくと涙を流していた。
「富永!?そんなに嫌だったか?ご、ごめんッショ!!」
『い、いえ、その違うんです!!嫌とかそういうんじゃなくて…う、嬉しくて…その信じられなくてっ、片想いだとっ思ってた、から…だからっ』
そう言って巻島さんの方を向いた瞬間、唇に何か温かいものが触れた。
『っ!?///』
「こ、これで信じられたッショ?///」
顔を真っ赤にして口元を押さえている巻島さんを見て先程唇に当たったのが彼の唇だということがわかった。
「で、その…よかったら、だが…俺と付き合って欲しいショ」
『っ…はいっ!私も…私も巻島さんのこと好きです!こんな私で良ければ、よろしくお願いします!』
私の言葉に巻島さんはバッと私を抱きしめた。
『ま、巻島さん!?』
「わりぃ、だが嬉しくてな。もう、抑えきれねぇショ」
巻島さんはそういうと私の頬に優しく手を添え、そっと唇を重ねた。
その瞬間外では花火が上がり、私たちは暫くの間、手を繋いだまま花火を楽しんだのだった。