第2章 気になるあの子(巻島目線)
坂の上までたどり着くと、どうしても先程のことが気になり、どうでもいい言い訳を心の中でしながらロードを方向転換させた。
その現場にたどり着くと彼女がかなり困った状況にいたことがわかった。
「その子、なんか困ってるショ。」
こんなことはガラではないのはわかっていたが、声をかけずにはいられなくなったので声をかけた。
「は?お前には関係ないだろ。黙って引っ込んでろ。」
確かに関係はない。俺がしていることが正しいのかもわからない。
だが、この子が困っているならば、どんなことをしても助けなくてはいけないと思った。
そして咄嗟に
「…その子、俺の彼女ショ。」
と嘘をつくことにした。
すると、男はなんか叫びながら坂を駆け上がっていった。
なんとも気まづい嘘をついてしまった為、恐る恐る彼女の顔を見てみると、相当驚いたような顔をしていた。
と、同時に少しホッとしているようにも見えた。
俺は咄嗟についた嘘のことを彼女に謝ると、そこにいることがなんだかいたたまれなくなり、すぐにロードに跨り坂を登り返した。