第2章 気になるあの子(巻島目線)
最近、いや2年に上がった頃から、俺には気になっている子がいる。
新入生だったその子はいつも明るく、男女問わず誰とでも仲が良さそうな可愛い小柄な女の子だった。
彼女の名前は富永 茉璃。
他の生徒が騒いでいたのを聞いて名前を知った。
可愛い子だなーとか、男女問わず誰とでも仲良く接している姿がいいなとか、そんなぐらいにしか思っていなかったが、いつの間にか目で追いかけるように。
今では、見かけられた日には密かにガッツポーズしてしまうほどになっていた。
「クハッ。まぁ俺がこんなこと思ったところで、なんの接点もねぇ。関わることすらきっとないショ」
そんなことを呟きながら総北高校の裏門坂をいつも通り登って行く。
すると、いつもはあまり人気のないこの道に人の姿が見えた。
気にせずに通り過ぎようとした時、俺の目に飛び込んできたのは富永さんの姿だった。
(なんだ。彼氏いたのか…)
そんなことを思いながらその少しのいらつきをぶつけるかのように邪魔という言葉をぶつけた。
と同時に
『ちょっと!やめてください!』
彼女が大きな声を上げた。
何事かと思ったが、スピードの乗っていた自転車の勢いを急に止めることもできずそのまま通り過ぎてしまった。
(俺はただ下りの練習をしたくなったから戻るだけショ。うん。ただそれだけだ。)