第18章 柔らかい感触
レースが終了し、帰り支度をしている2人のもとへ向かうと急に尽八が私の肩を掴みかかってきた。
いつものおちゃらけた顔ではなくその真剣な顔になんとなく話しかけることもできずにそのまま目を見つめていると、尽八はようやく話を始める。
「すまない、茉璃。明日のデート…その、デートではなくなってしまうのだが…巻ちゃんも一緒に行くことになっても…いいか?」
申し訳なさそうな顔をしている尽八に対し私はというと少しにやけていたかもしれない。
もともとデートだとは思っていなかったため、何を謝っているんだこの人はと考えながら、その願ってもない朗報に嬉々としていた。
『デートっていうかただの観光でしょ?だったら人数増えても関係ないじゃない。もちろん、歓迎します、巻島さん』
2人に向かい笑顔で返すと尽八は少しむくれた顔に、それに対し巻島さんは何故か口を押さえて笑いを堪えていた。
そんな2人の表情に不思議に思っていると、なんでもないと少しニヤけた顔で言いながらカバンを肩にかける。