第79章 君と最後の峰ヶ山(巻島目線)
遅めの昼食をすませると練習用のジャージに袖を通し、何日かぶりのロードに跨った。
今日は茉璃の要望で峰ヶ山に登ることにした。
本当はどこか違うところへ出かけても良かったのだが、茉璃はどうしても峰ヶ山が良かったらしい。
久しぶりの茉璃との峰ヶ山。
楽しくないわけがなかった。
ゆっくりとペダルを回しながら初めて峰ヶ山に誘った日のことを思い出す。
ゆっくりめに走ると少し不機嫌そうな顔をして。
俺のダンシングが見たいから全開で走れなんて茉璃は言った。
その言葉が嬉しくて、ニヤけそうになる顔を隠すように加速をすると茉璃は東堂と同じように音もなく加速し俺についてきた。
あの時はただただ、その状況が面白くて無我夢中でペダルを回した。
(この時間が永遠と続きゃあいいのにな…)
なんて考えてた。
今でも同じことを考えている。
『裕介さん、一緒に登ると楽しいですね!』
「あぁ!楽しいショ!!」
俺たちは全力で頂上を目指した。