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蝶と蜘蛛

第78章 あなたと最後の峰ヶ山


目を覚ますと、時計の針はすでに昼を指していた。
隣には私の顔を見て苦笑いを浮かべる裕介さんの姿。
昨夜の余韻がまだ肌の奥に残っていて胸の奥がじんわりと熱くなる。

遅めの昼食を済ませ支度をすると、2人でロードに跨った。

「こんなところで良かったのか?もっと他にも行きたいとことか…」
『いいの。私は裕介さんと、ここに来たかったの』

今日は私の要望で最後に一緒に峰ヶ山に登ることにした。

「なんか茉璃と峰ヶ山登るの久しぶりショ」
『そうだね。初めて一緒に登ったときのこと、覚えてる?』
「そりゃ、覚えてるショ。あんときゃ、お前の登りにびっくりさせられたかんな」

最初に峰ヶ山に登ったときは、ただただ裕介さんのダンシングが見たくて、気を遣ってゆっくり走ってくれてる裕介さんに全開で走れなんてお願いをした。
裕介さんは驚いたような照れたような顔を一瞬見せてスピードをあげ、あのダンシングを見せてくれた。
私も必死に裕介さんに追いつけるよう全力でペダルを回した。

(ずっと、この時間が続けばいいのに…)

なんて思っていた。
それは今でも変わらない。

『裕介さん、一緒に登ると楽しいですね!』
「あぁ!楽しいショ!!」

ギアを上げダンシングで一気に駆け上がっていく。
すると裕介さんもあのダンシングでそれに応えてくれる。

裕介さんの玉虫色した長い髪が左右に揺れ私を抜き去っていく。
その大好きな後ろ姿をじっと見つめ涙が出るのを必死に堪えた。
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