第10章 あなたと初めての峰ヶ山
普段、男性といてこんなにもドキドキと胸打つ事があっただろうか。
思えば最初の出会いから、今までの部活。
この人は私が困っていたらいつも助けてくれた。
少し不器用なところはあるけれど、それでも毎回優しく包んでくれていた。
それにさっきの純太のことを聞かれたときのあの気持ち…
(あぁ、私…この人のこと…)
『好きなんだな…』
思わず溢れてしまった言葉に、巻島さんは驚いたようにこちらを見た。
『え?あと、違くて…その、ロードが!!坂を登るのが好きだなーと思いまして、アハハ…』
なんて苦し紛れの誤魔化しをする。
すると、巻島はなんだと苦笑いをし、また夕陽に視線を戻す。
(危なかった…こんな急に告白なんてしたら引かれちゃうよ…)
私は今自覚したこの気持ちを一旦胸にしまっておこうと心に決め、夕陽に視線を戻すのだった。