第76章 最後の時間(巻島目線)
『もうこの図書室で、この学校で裕介さんと要られるのも、最後なんですね』
茉璃がそう呟いた瞬間、胸の奥がキュッとなった。
笑って返そうとしたけど喉の奥で言葉が詰まった。
3日後には渡英。
あと少しで、この学校とも、彼女とも離れる。
静まり返った廊下を並んで歩く。
夏休みの校舎は蝉の声だけが響いていた。
俺はふと思い立って口を開いた。
「なァ。せっかくだし、どこか出かけるショ」
茉璃は驚いたように目を見開いて、すぐにふわっと笑った。
(この笑顔…もうしばらく見られなくなるんショ。)