第64章 波乱の最終日
残り1.5kmで先頭は真波くんへと入れ替わる。
アナウンスの情報しかない私たちには信じて待つことしかできない。
今、どれほどの差がついているのだろう。
小野田くんは追いついているのだろうか。
ーーー後続、176番。先頭に引き離されていますが、頑張っています!表情…苦しそう…!
そのアナウンスに不安に思いながらも私はあることを思い出す。
裏門坂レース、1年生ウエルカムレース、今日までの2日間のインターハイ、彼は追っている時の方が圧倒的に早かった。
そして彼は…笑いながら、楽しそうに登るんだ。
彼が笑った時、すでに物凄い勢いで回しているケイデンスがさらに上がり、まっすぐと目標だけを目指して進む。
(大丈夫。小野田くんなら、土壇場で追いついているはず。)
残りは約500mほどだろうか。
アナウンスの情報が随時入ってこないことがもどかしい。
純太もその状況にイラつきを見せる。
「こっちからコースが見えるぞ!」
青八木くんがコースの向かい側で叫んだ。
私たちは柵を乗り越え向かい側へと向かった。
コースを見下ろすと必死に真波くんに追いついている小野田くんの姿が見えた。
きっとここから先、ゴールスプリントとなるだろう。
夏の空、そこに一番近い場所へと向かう2人の最後の勝負が幕を開けた。