第56章 小さな嫉妬(巻島目線)
俺は茉璃抱きしめたまましばらく動けなくなっていた。
背中越しの体温が思っていたよりもずっと近くて。
その体勢のまま洗い物を終えた茉璃の背中からそっと離れ手を拭いている彼女の手を握る。
そして自然に手を引きながら自室へと連れて行った。
部屋に入って扉を閉めた瞬間、空気がふっと変わった。
距離が近い。
視線がぶつかる。
何か言おうとした茉璃の唇に思わずそっと口付ける。
そしてそのままベッドへと連れて行くと茉璃は小さく頷いた。
そんな茉璃をみて俺は彼女の服の裾からゆっくりと手を忍ばせて素肌に触れた。
その反応が可愛くて、愛おしくて堪らず手を握りキスをする。
『んっ///ゆっ…すけ、さん』
小さな手が少しだけ力を込めて俺の手を握り返してきた。
それだけで胸がじんわりと熱くなる。
「茉璃…」
俺はそのまま首筋へと優しくキスをする。
俺の唇が触れる度にピクリと身体を震わせ、その口からは甘い吐息が漏れた。
外の風がカーテンを揺らす中、部屋は静かで彼女の呼吸だけがそっと響いている。
その穏やかなリズムに耳を傾けながら俺はただ茉璃を離さずにいた。