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蝶と蜘蛛

第42章 噂と期待


翌日。
自転車競技部にマネージャー志望の女の子をやってきていた。

『幹!』
「茉璃ちゃん!」

そう私の名前を呼ぶ彼女は行きつけの自転車屋の娘さんでかなりの自転車ヲタクである寒咲幹だ。
自転車屋に顔を出していたところいつの間にか仲良くなっていたのだ。

「ん?なんだ茉璃。知り合いなのか?」

不思議そうな顔をしながら裕介さんは私に尋ねる。

『はい。行きつけのサイクルショップの娘さんで、裕介さんたちが1年生の時の主将、寒咲さんの妹さんです』
「寒咲さんの?」

裕介さんと一緒に話を聞いていた田所さんも一緒になって少し驚いた顔をしている。

「幹です。兄がお世話になっています」
「あぁ、世話になってるのはこっちショ」
「主将だった時も世話んなったけど、今も色々とサポートしてもらってっからなぁ」

寒咲さんには部品の提供から何から、卒業した後も何かとお世話になっている。

「それでは、今日は挨拶だけで失礼します」

そう言うと幹は部室を後にしようとしたが、何かを思い出すようにこちらに駆け寄ってきた。

「茉璃ちゃん。ちょっとだけ話せる?」
『あぁ、うん。金城さん、ちょっとだけ出てきても大丈夫ですか?』
「あぁ。行ってくるといい」

私は金城さんの許可を得て幹に連れられ部室の外へ出た。
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