第38章 相談(巻島目線)
終業式後。
部室に行く前に俺は珍しくある人物に電話をかけていた。
<もしもーし、巻ちゃん?巻ちゃんからかけて来るなど珍しいな!>
「お前が先にかけてきたんショ」
終業式が始まる前、携帯を見てみると東堂からの着信が15件ほど入っていた。
いつもはそのまま無視するのだが何と無く今日は折り返しをしてみることにした。
俺はその東堂の元気な声に少し安心しながらも会話を続ける。
「で、なんの用ショ?」
<うむ。最近茉璃とはどうしているだろうと思ってな>
「あぁ…」
<ん?どうかしたか?なんだか元気がないようだな?>
俺はイギリス行きのことは伏せた状態で 茉璃と喧嘩をしてしまったことを東堂に伝えてみた。
<なるほどなー。それで、巻ちゃんはどうしたいのだ?>
「俺は…」
<あまり不甲斐ないと俺が攫いに行ってしまうぞ?ワッハッハー!>
「いや、そうはさせないショ」
<うむ、そうこなくてはな。では、検討を祈っているよ>
「あぁ」
俺がどうしたいか。
そんなのはもう決まってる。
俺は茉璃を泣かせたくはねェ。
もう一回茉璃とちゃんと話そう。
俺はそう固く決意を固め部室へ向かった。