第4章 再会そして
放課後、純太と青八木くんとともに自転車競技部の部室へ向かった。
すると、部室に入る手前でクマみたいなガタイの良い先輩に声をかけられた。
「おう手嶋。青八木。」
「「お疲れ様です。田所さん。」」
二人が田所さんと呼ばれたその男性に一斉に挨拶をすると、その先輩は私の方を見て純太にさらに話しかける。
「今日はどうしたんだ?マネージャー希望か?」
「いえ、この子は…」
純太が私のことを紹介しようとしてくれた瞬間、田所さんは私の顔を覗き込み、ハッとしたような表情を浮かべた。
「お前、一年の富永 茉璃だろ!?」
急に名前を呼ばれ私が驚いていると田所さんはそれを肯定ととったのかそのまま話を進める。
「俺は2年の田所迅だ。よろしくな!」
『私は1年の富永 茉璃です。よろしくお願いします。』
私が挨拶をすると、田所さんは私を見ながらなるほどなーと呟いた。
その田所さんの姿を見て純太が不思議そうに声をかける。
「田所さん、茉璃の事知ってたんですね。」
「おうよ。2年の間でも可愛い新入生が入ったってもっぱらの噂になってたからなぁ!」
そんな恥ずかしい話に少し俯いていると田所さんが少しニヤニヤしたように言葉を続ける。
「それに、お前らが入学して来た頃から巻島の様子が少し変でよぉ。問いただしてみたら富永のこと…むぐ!?」
田所さんが何かを言いかけたその瞬間、部室の扉が急に開いたかと思うと、田所さんの背後から長い腕が伸びてきてその口を塞いだ。