第11章 一ヶ月の処分(リクエスト)
「……何だ」
「私も寝たいな~と思って」
「俺も」
「何故この部屋に来る」
「向こうの部屋、屋根が落ちてます」
「あれじゃ寝れねえよ」
「……勝手にしろ」
そう言い、頭の下で手を組むと目を伏せる
数秒の間を置いてベッドが軋んだ
2人の動きに合わせて揺れを感じ、やがて静かになる
何気なく薄目を開けてそちらを見た
左手を水平に伸ばした彼の腕にミズナが頭を乗せている
こちらに身体を向けたラディッツはもう一方の腕で彼女の腰を抱いていた
「っ……お前達……」
「はい?」
「人が横にいるだろうが。……何だそれは」
「腕枕ですよ。ちょっと固いけど……高さが丁度良いんです」
「……」
「ベジータ、片方空いてるぞ。使うか?」
「いらん!」
そう言い、彼等に背を向けて再び目を閉じる
背後で2人が小さく笑うのが分かった
怒る気もせず、心の中で溜息を吐く
どうしてこの2人といると調子が狂うのか
そしてそれが嫌じゃないと思っている自分に戸惑ってしまう
(……何なんだろうな……変な気分だ)
ベジータはモヤモヤした気持ちを抱えながら眠気が来るのを待った
暫く寝付けずにいると、背後からかすかな寝息が聞こえて来る
ゆっくりと身体を反転させると、眠っている2人の顔が見えた
幼い頃から顔を合わせ、共に行動することが多い同属
何故この2人といると安堵感を得られるのだろう
普段とは全く違う表情をしてしまう
そこまで考えて僅かに笑みを浮かべた
(全く……俺らしくないな)
彼等が側にいる事が自分には心地良い
ベジータはそう思い、再び目を閉じた