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ドラゴンボール/ラディッツ

第10章 理由(リクエスト)


左耳のすぐ側で機械音が鳴る
目を閉じたまま手探りでスカウターのスイッチを押した

『ラディ、寝てた?』
「いや……暇だから横になってただけだ。そっちは?」
『終わったよ~』
「早いな。10日の予定だろ。まだ6日しか経ってないぞ」
『ちょっと、ね。この星、食べ物があまり……』
「不味い物ばかりか?」
『う、うん。それで、べジータさんが動けなくなると困るから携帯食全部あげちゃって……』
「で、腹が減って急いだのか……お前、大丈夫か?」
『お腹空いたよ~。プリン、お腹一杯食べたいなあ』
「プリンって……飯より菓子かよ」
『疲れた時には甘い物が欲しくなるでしょ?』
「まあ、そうだな」
『ふふっ。じゃ、あと20時間くらいで帰るから……また後でね』
「ああ」

僅かなノイズと共に通信が切れる
ラディッツは身体を起こすと髪をかき上げた
サイヤ人にも関わらず小食のミズナ
それでも6日間ろくに食べていなければさすがに辛いだろう

「……プリン、か……」

そう呟き、ベッドから足を下ろした
身体を伸ばしながらドアへと近付き、開閉ボタンを押す
部屋から一歩出たところで肩を叩かれた
そちらに顔を向けると見慣れた丸い頭が目に入る

「よお」
「ナッパ……珍しいな。お前から声を掛けるなんて」
「そうか?お前、大怪我負ったからな。同属だからさすがに気になってよ」
「何日経ったと思ってるんだ。もう治ってるさ」
「そうか。ミズナも安心しただろうな」
「ああ。アイツ泣くし……機嫌取るのが大変だったぜ」
「惚気か?ラディッツのくせに生意気だぞ」
「……何だよそれ」

意味不明の言葉に思わず溜息が出た
それで機嫌を損ねたのか、ナッパがこちらに腕を伸ばして来る
殴られるのが目に見え、ラディッツはそれを避けると身を翻して廊下を走り出した
背後から名を呼ばれるが、構わずに先へと急ぐ
食堂の手前にあるドアの開閉パネルを弄るとそのまま中に入った
ドア越しにナッパが駆け抜けていくのを確認して笑みを浮かべる

「……スカウターを使われれば、すぐに見つかるんだけどな」
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