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ドラゴンボール/ラディッツ

第8章 失いたくない人


多くのサイヤ人で賑わう酒場
賭け事をしていたり、ただ飲んでいるだけの者も居る
騒がしい中心部から外れた席に2人の男が座っていた
1人は下級戦士の戦闘服を身に着け、顔に大きな傷跡がある
その向かいに座る男は戦闘服ではなく、白く裾の長い服に身を包んでいた
その襟にはベジータ王の側近である事を表す飾りがついている
エリートの中でも上位に立つ男だった
ふいに彼がこちらを見て口を開く

「皆、楽しそうですね」
「ああ……お前は?ゲームしねえのか?」
「ルールを知らないので」
「へえ……エリートさんにも知らない事があるのか」
「知らない事の方が多いですよ」

そう言い、持っていたグラスをテーブルに置いた
両肘をついて指を組み、横へと視線を向ける

「寝たか……子供にはつまらない場所だからな」
「そうですね」

返事を返して相手が見ている方へ視線を移した
1つのイスに座り、背凭れに体を預けて眠っている2人の子供
騒がしい声など全く聞こえていないのか、ぐっすりと眠っていた
その寝顔を見ながらゆっくりと口を開く

「なあ……お前、どうして俺と一緒に居るんだ?」
「何ですか、いきなり」
「お前はエリートの中でも上位だろ。下級の俺と居て楽しいのか?」
「楽しいですよ。友達にエリートも下級も関係ないでしょう」
「友達?」
「はい、友達です」

そう言い、楽しそうに微笑む
自分よりも年上なのに随分と子供っぽく見えた

「お前がそう言うんなら……こいつ等もこのまま仲良く大きくなるんだろうな」
「友達以上になったらどうしましょうか」
「それは……無いだろ。只でさえ女が少ない種族なんだ。お前の子なら相手はエリートだろ」
「……」
「何だよ」
「私は……好きな男と一緒になって欲しいですよ」
「だからその相手が俺の子なら……」

そこで言いかけた言葉を飲み込む
こちらを真っ直ぐに見る男の表情に悲しそうな色が浮かんでいた
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