第6章 子守り
帰還に合わせてセットしていた目覚ましが作動する
爽やかな香りを感じたのと同時に目を開けた
目を擦りながら顔を上げると、前方に母船が見える
約2ヶ月振りに見る母船
ミズナは狭いポッドの中で身体を伸ばして溜息を吐いた
「やっとベッドで眠れる……」
『お前はいつも寝場所に文句を言っているな』
「あ、ベジータさん。寝場所は重要ですよ。外は虫が出るから嫌だし……ポッドで寝るとあまり動けないし」
『……お前、それでもサイヤ人か』
「サイヤ人だって寝る場所くらい考えますよ」
そんな事を話している間にポッドが母船へと収容される
振動が治まると、シュッと音を立てて外側のハッチが開いた
ポッドを開けて発着室の床に立つ
惑星から戻って来るまでの1ヶ月を寝て過ごしていたせいか、足元がフラ付いた
そんな事はお構い無しにベジータが口を開く
「行くぞ」
「は、はい」
先に歩き出したベジータの後に続いて発着室を出た
フリーザの部屋へと向かう途中、修理作業をしている人の姿が目に入る
それも1箇所ではなく、数箇所で
一体何があったのだろう
ベジータもおかしいと思ったのか、修理作業を見ながら先へと進んだ
角を曲がった先に見えるのがフリーザの部屋
中に入るとすぐに声を掛けられた
「戻って来ましたか……待っていましたよ」
そう言いながらゆっくりとこちらに顔を向けるフリーザ
その顔を見た途端、ベジータとミズナは笑いそうになった
何故か鼻の部分に大きな絆創膏が貼られている
一体彼に何があったのだろう
色々な想像をしてしまい、ミズナはフリーザから視線を逸らした
これ以上見ていたら本当に笑ってしまう
ベジータも同じ様に真横に視線を向けていた
「今、大変な事が起きているのですよ。それでお2人にも手伝って頂きたいのです」
「……何でしょうか?」
吹き出すのを堪えて発した声が僅かに震える
フリーザはそれに気付かなかったのか、パチンと指を鳴らして2人の背後へと視線を向けた
それにつられる様にしてそちらを見る
すると、ナッパが何かを抱えて入って来た
こちらは顔だけではなく体中傷だらけ
抱えられているのは4、5才くらいの子供だった
その顔を見てベジータが首を傾げる
「……ラディッツの子供か?」
「えっ!?そんなあ……」