第4章 入れ替わり
「な、何でもないよ。あ~……今日は色々あり過ぎて疲れちゃったね」
「ああ……しかし蹴りを入れるほど怒るか?あれくらいで……」
「べジータさん……初めてだったのかも」
「初めてって……」
「ラディ、ベジータさんのファーストキス、奪っちゃったのかな?」
「気持ちの悪いことを言うな」
「本当かも知れないじゃない」
ミズナがそう言って微笑む
数時間ぶりに見るミズナの笑顔
それを見ただけで随分と安心出来た
「ふあ……もう眠くて仕方ないよ。私、部屋に戻るね」
「ああ」
ミズナが部屋に入るのを見届けてからその場を離れる
あのキスが原因で2人が元に戻れたのかは分からない
ただの時間切れの可能性もあった
だが、戻れたことは自分にも嬉しい
「これで今まで通りにミズナとやっていけるな……」
そう呟いて窓から見える惑星に視線を移す
ゆっくりと変わる景色に目を細め、ラディッツは笑みを浮かべた
2人が立ち去り、静かになった寝室
ベジータは片手で抱いていた枕を思い切り殴りつけた
バスッという音を立ててカバーが破れ、中の素材が流れ出る
「くそっ……ラディッツなんかに……!」
初めて唇を重ねた相手
それがラディッツになるとは思ってもみなかった
誇り高きサイヤ人の王子ベジータ
彼はあまりの悔しさで朝方の時間になるまで眠ることが出来なかった