第2章 距離
「や、ちょっと、くすぐったい」
「この体勢が楽なんだよ。我慢してくれ」
「我慢って……仕方ないなあ」
狭いこんな場所で楽に寝るにはこの体勢しかないだろう
ミズナはそう思い、ラディッツの胸に背を預けた
(何でこんなに恥かしいのかな……昨日の事があったから、かな?)
いつの頃からか気になっていたラディッツの存在
気付かれないように平静を装いながらもいつも側に居た
ラディッツの側が自分にとって最も居心地が良い
今も背に感じる彼の体温をとても心地良く感じていた
ふと視線を落とすと、いつの間にか腹部に回されていたラディッツの腕が見える
男性らしい筋肉質な腕を辿るように視線をずらすと、肌に真新しい傷を見つけた
血がまだ固まっておらず、傷口も深いように思える
一体どんな戦い方をしたのだろうか
そう思いながらジャケットの中に手を入れると、ハンカチを取り出した
広げて細く折り畳むと傷を押さえるようにして結ぶ
「……あまり無茶しないでよ」
ミズナはその傷をそっと撫でると目を閉じた
ラディッツとミズナの前方を飛ぶポッドの中
会話が筒抜けするスカウターを外すか外さないかで悩んでいるベジータの存在は、すっかり忘れられていた