第17章 クウラ軍・前編
窓の外に見えるのは見飽きてしまった宇宙空間
幼少の時代から見てきた景色に小さくため息をつくとブックパネルに視線を戻した
母船が航行中の時は当然の事だが外には出られない
広場で過ごすか部屋で過ごすかの二択になり、今日は後者だった
ベッドに横になり、右手でパネルを持って左手は頭の下
そんな自分の上には一人の少女がうつ伏せで寝転がっていた
こちらの肩に頭を乗せて胸から腰まで密着している
呼吸をするたびに吐息が首筋にかかり、少しくすぐったかった
「……ミズナ。寝るんならちゃんと横になれ」
「ん~……うん……」
そう返事をしながらも動く気配は全く無い
声を掛けた事で少し顔を上げたが、すぐに眠気に耐えられなくなって元の位置に戻った
互いに戦闘ジャケットを脱いだアンダースーツ姿
薄いが頑丈な生地越しに女性特有の柔らかさと心地良い体温が伝わってきてこちらまで眠くなってくる
細くしなやかな足はこちらの足に沿うようにして伸ばされ、もう一方は軽く曲げて片方の太股を跨いでいた
素肌が触れ合って何だか妙な気分になってしまう
それを紛らわすように左手を頭の下から抜くとミズナの頭に乗せて綺麗な髪を撫でた
時折手を止めながら撫で続けているとやがて寝息が聞こえてくる
体の上で寝られると体重で少し息苦しさを感じるが、相手が彼女だとそれすら心地良かった
(これは……ヤバい)
これ以上変な事を考えない内に自分も寝てしまおうとパネルを持った手を顔の横に下ろす
目を閉じてほんの数秒経ったところで左耳のスカウターから音が聞こえた
「っ……」
驚いて目を開けるのと同時に眠っていたミズナも飛び起きる
左手をスカウターに触れると視線を彷徨わせ、そして表示パネルを見た
「ラディ、何……?あ、フリーザ様から……?」
「…………客が来るみたいだぞ」
「お客さん?それって、アレかなあ?」
そう言い、彼女が視線を窓の方へ向ける
自分もそちらを見るとこの船と似たような形の宇宙船が見えた