第16章 二人の関係
積み上げられる皿を重ね、テーブルの端へと寄せる
自分は食事は終わっているが彼を待つために隣に座っていた
皿の数は目線の高さまで高くなっている
それでもまだ足りないのか、持ってきた料理は次々と平らげられていった
そろそろ皿を下げなければ片づけが大変になってしまう
ミズナは持っていたグラスを横に置くと、大量の皿を自分のトレイに乗せて立ち上がった
「これ、下げてくるね。何か欲しいものある?」
「ん……飲み物」
「分かった」
そう返事をして食器の返却口へと向かう
トレーごと棚に置くと、彼がいつも飲んでいるジュースを2つ取って席に戻った
テーブルにグラスを置くとイスに座って正面の窓を見る
目に入る景色は漆黒の宇宙と、そこに浮かぶ惑星だけ
見飽きた光景にすぐに視線を逸らしてしまった
食べ終わったらまた彼の部屋でのんびり過ごそうか
今回の休暇は2日しかない
普段は一度出撃して戻れば、最低でも5日は休みが貰えるのに
仕事なのだから仕方がないがこの短い時間は有効に使いたかった
(読書も良いけど……やっぱりラディの側にいたいな~)
そう思いながらストローに口をつけたところで、グラスを掴んだ彼がこちらに顔を向けた
「ミズナ」
「ん?」
「聞きたいことがある」
「何?」
「お前と、べジータの関係」
「……へ?関係って?」
自分の言葉に彼―ラディッツが人差し指でストローを端に避けながら視線だけを窓の方に向ける
「……べジータが、お前に聞けって」
「ん~?」
何のことだろうと考えるが、困ったことに何も思い当たらなかった
首を捻ったまま窓ガラス越しに彼の顔を見る
すると、ラディッツは言い辛そうな表情を浮かべて口を開いた
「昔、付き合ってたりしたのか?」
「……はあ?」
予想もしなかった言葉に思わず間の抜けた声が口から漏れる
ラディッツがこちらを見るとグラスを口元へと寄せた
「エリート同士だからと思ってたが……仲が良いから、さ」
「仲が良い?私が一方的にからかってるだけのような……」
「それでも、べジータが怒らないのはお前くらいだろう。俺は、時々殴られるからな」