第15章 王子の子守り・後編
「ふふっ、ちょっとからかってみただけです。べジータさん、ジャケット持ってきたんで着てください」
彼女の言葉に2人の男が安堵の表情を浮かべた
ミズナがアンダースーツとジャケットをベッドに置くと後ろに下がってべジータのほうを見る
彼がそれを手に取るのを見るとドアのほうへ身体を向けた
「べジータさん。ラディよりも時間が掛かりましたね。戻ったのは嬉しいけど……ちょっと寂しい感じ」
「寂しい?」
「はい。べジータさんが私にくっついてばかりでラディが妬いてたんですよ」
「……男の嫉妬とは見苦しいぞ」
「お前のせいだろうが。……似たような事、前にも言われたな」
「覚えていない」
「でも、寝るときは大抵ラディにくっ付いてましたね。何でですか?」
「知らん。俺が聞きたいくらいだ」
そう言いながらアンダースーツを腰まで引き上げる
すると、音で気付いたのかミズナがこちらを振り向くと小さく息を吐いた
「もうべジータさんを抱っこ出来ないのが寂しいです」
「ミズナ……俺をからかうな」
「はーい、ごめんなさい」
返事をして柔らかな笑みを浮かべるミズナ
2人が昔から見てきた、とても優しい笑顔だった
思わず笑みを返すラディッツの横でべジータが照れくさそうにそっぽを向く
やはり子どもの姿のほうがまだ可愛げがあったか
ミズナとラディッツは視線を合わせると小さく首を竦めた