第14章 王子の子守り・中編
「おはようございます、ミズナさん」
「おはようございます。フリーザ様」
「お2人は眠っているようですね。……意外と可愛らしい寝顔です。おや?」
「?」
「ラディッツさんのお顔、どうされたのです?」
「これは……べジータさんの寝相が悪くて。一晩中殴られたり蹴られたりして痣が……」
「そうですか。子どもの寝顔は天使のようですが、べジータさんには注意が必要ですねえ」
「……」
「叱りに来た訳ではありませんよ。どの程度被害が出たのか見に来ただけです」
「は、はあ……」
「ラディッツさんが暴れた時よりも圧倒的に被害は少ないです。修理はべジータさんとラディッツさんが起きてからにしましょうか」
「ありがとうございます」
「いえいえ。修理の煩さに2人そろって暴れられては母船が粉微塵にされますからね」
そう言うとラディッツの時のことを思い出したのか、少し引きつったような笑顔を見せて側を離れていく
お付のドドリアは破壊された広場を見て言葉も出ないようだった
彼らの姿が廊下に消えるのを見て大きく息を吐く
背中を伝い落ちる冷や汗が気持ち悪い
何を言われるのかと身構えてしまったがそんな必要は無かったか
そう思いながらフリーザを見て思わず力を入れてしまった腕を緩め、べジータの寝顔を見る
いつになったら彼は元の青年の姿に戻れるのか
このままでは休暇中の戦闘員が残らず叩きのめされてしまう
午前中だけでも母船にいる戦闘員の4分の1程度は医療質に送られてしまったのだから
それに惑星の侵略が遅れることになればフリーザの機嫌が悪くなるのは目に見えている
「早く戻れば良いなあ……」
ミズナはそう呟き、所々で黒煙が立ち上る広場を眺めてため息を吐いた