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秋は読書ってよくいうよね。

第1章 猫と本と俺


君はさぁ。
最近なにか本読んだ?
俺は成人してからは初めて最近本を読んだんだけど…。


それは夏も終わり、最近は台風がたびたびきては去って行く…今年は何回台風くんだよっ!ってツッコミたくなる。なんだか変な時期の年の秋である。昼間いつものいきつけの裏路地で顔見知りの野良猫達にキャットフードをあげていた。

「よしよし」俺が気持ち悪りぃ声で黒猫の頭を撫で声をかけていると、ドサッ!バサバサッ!!と音がして、黒猫が音に驚いてその場から素早く少し俺から距離のあるたくさん積まれた離れたゴミ袋のかげに隠れた。俺は「チッ」小さく舌打ちしてから右手のふわふわの温もりがいなくなった手をしゃがんでいた膝の上に戻した。そして物音がした方向に視線をやると、たくさんの雑誌や本が紐で丁寧に縛られて山積みにしてあり一箇所に置かれていた。しかし、その本の山の隅の一部の場所、1組の本だけが本を結んでいた紐が切れて何冊か本と雑誌が倒れて散らかっていた。

俺は心の中で「ちゃんと切れないように紐で結んどけよっ」と悪態をついた後、気だるく立ち上がり少し歩き、崩れている本や雑誌に近寄ってしゃがみ込む。

近寄るとページが開いてしまっている本があった。

白い薄っぺらい紙に黒の文字がたくさんゴロゴロと並んでいる。

本のページを閉じて拾い上げて表紙や裏表紙を確認したが、思ったより破れたり汚れていなかった。まあ、暇だったし少しページをめくり、読んでみた。


最初の書き始めの文章はこうだった。

【本職の詩人ともなれば、いつどんな注文があるか、わからないから、常に詩材の準備をしておくのである】

最初から主人公が詩人だと言い、詩材の準備をたくさんしていると語りだす。この文面から続きがすでに気になった。どうやら主人公が最初から語り始めるこのタイプの書き方に俺は惹かれるようだ。


読んでいるとさっきの黒猫が視界の隅にうつり、膝にすり寄ってきた。猫の温もりは感じてはいたが、本の内容に俺は気を取られていた。しばらく読んでいたかったが、路地裏でしゃがみ込んで読んでいるたいせいは足が痛くて辛い。仕方なく立ち上がり。途中読みかけの本の内容が気になり、猫達と今日は過ごす予定だったが。急遽変更にすることにした。
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