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[おそ松さん]カラ松事変 後日談

第3章 カラ松の記憶


家に着くと、母親がカラ松を抱きしめた。

「ああ、カラ松!カラ松!!母さんを許してね」

「大丈夫だぜ、マミー。もういいんだ」

いつも通り部屋で鏡を見る。が、すぐにやめた。

「はぁ…」

「どうかした、カラ松兄さん?」

「なんだか心に、ぽっかり穴があいたようでな…。なぜだろうな」

「カラ松…」

おそ松はカラ松の前で、頭を下げた。

「すまん!!」

「兄貴?もういいって」

「違う。これは別件だ」

「どういうことだ?」

「お前の大事な人を、傷つけた」

「大事な人?俺にそんな人、いるわけがないだろう」

「じゃあお前、何で泣いてるんだよ?」

「え…?あれ?」

涙が止めどなく流れる。

「手を見てみなよ」

チョロ松に言われて手を見れば、そこには指輪があった。

「俺、指輪なんてしてたのか。…ぐすっ…なぜだ…、なぜこんなに悲しいんだ…?うう…」

「明日もう一度、会いに行こうよ」

「でもさ、トド松。記憶が戻らないまま行っても、また悲しませるだけだぞ」

「一松兄さん…」

「何の話だ?」

「カラ松兄さん、覚えてる?喫茶店で泣いてた人がいたの」

十四松がぴょんと、カラ松の顔をのぞき込む。

「ん?ああ、思い切り泣いてた人か」

「そう!その人は、お前と結婚の約束をしてた人なんだ。その指輪が、証拠だよ」

「結婚の……約束…………。あ………ああ…………!!」

「俺たち、どうしてもお前に帰って来て欲しくて、あの人がデカパンからもらった薬を飲ませたんだ」

「薬…………!!」

カラ松は指輪をしている手を握りしめ、声をあげて泣いた。

「思い出した?」

「わからない……!わからない!!でも、すごく悲しい……!!忘れちゃいけないって、心が叫んでるんだ…!!思い出せって、叫ぶんだ…!!でも、思い出せない!」

「だってお前が飲んだ薬は、俺たちのことを思い出す代わりに、その人のことを忘れてしまう薬だから…」

「その人が、カラ松兄さんを助けてくれたんだよ」

「命の恩人」

「カラ松を、ずっと看病してくれた人だ」

それでもカラ松は、思い出せずにいた。業を煮やした一松が、カラ松の胸ぐらを掴む。

「おい、クソ松!!思い出せよ!!その人はお前の何倍も悲しんで、でも俺たちを思ってその薬をくれたんだ!そんな優しい人を……!俺たちは泣かせたんだ!」






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