第2章 おそ松たちの奔走
「必死にカラ松さんの看病をしていたもの。寝る間も惜しんでね。カラ松さんが意識を取り戻したのも、○○さんのおかげね。運び込まれるのがもう少し遅かったら、死んでたわよ?」
「そうだったんですか…。ありがとうございました。俺たち、その人を探してみます」
「頑張ってね。でも、どうして今まで来なかったの?」
「そ、それは…。帰って来るって思ってたから…」
「病院の場所も、知らなかったし…」
「…まあ、深くは聞かないわ。何があったのかは知らないけど、ちゃんと精算しなさいね」
「はい…」
師長が去った後、おそ松たちは病院の外のベンチで肩を落としていた。
「やっぱり重症だったんだ…」
「僕たち、なんてことを…」
「カラ松兄さんに、たくさんたくさんごめんなさいしなきゃだね」
「助かったんなら、よかったじゃん」
「一松。お前なぁ…」
何か言おうとしたチョロ松だったが、一松が嬉し泣きしていることに気付き、言うのをやめた。
「後悔役に立たず、だっけ」
「先に立たずだよ!なんだよ、役に立たずって!確かに役に立たないけども!」
「今日は疲れた…。無事ってのがわかっただけでも、収穫だろ」
「そうだね、母さんにも報告しないと!」
「カラ松兄さん、早く会いたいな!会ってごめんなさい、一杯するんだ!」
家に帰ると母親が待っていた。心なしか、やつれて見える。
「お帰り!どうだった?カラ松、見つかった?」
「…んや、まだだけど、無事だってのがわかった」
「母さん。カラ松はね、意識不明の重体になってて、それを助けてくれた人がいるんだ」
「でね、カラ松兄さんは記憶喪失になってて、カラ松の名前だけ思い出したって。今は助けてくれた人のところにいるみたい」
「ごめんなさい、母さん。悪いのは、俺たちなんだ」
「いいえ、母さんが悪いの。梨を出した時、カラ松がいないことに気付かないなんて、母親失格ね」
「そんなことないよ!自分を責めないで、母さん!」
「僕たちが必ず探し出すから、待ってて!」
「ありがとう、ニートたち。みんないい子だよ」
次の日から、師長にもらった写真を手にして、おそ松たちは血眼になってカラ松を探した。
「トド松、そっちはどうだった?」
「駄目だ。誰も知らないって」
「こっちもだ。赤塚区には、いないのかな」